【今シーズン最後の1頭が届きました】北海道・余市町。積丹半島の東の付け根に広がる穏やかな丘陵地帯は、今や国内外から人が訪れる日本屈指のワイン産地。その余市でもひときわ静かで、美しく佇むのがモンガク谷ワイナリー。

木原さんファミリーが守り育てるこの土地では、樹々の息づかい、風の匂い、畑の温度、そして家族の温かな手仕事がひとつの循環をつくり上げています。そこで穏やかに育つ羊たちは、モンガク谷の自然循環を象徴する存在。

４回目のシーズンを迎えましたが慣れる事無く、今年はその命の重さを改めて受け止めることから始めました。

モンガク谷ワイナリーの畑で、ブドウの木のあいだをゆっくり歩き、草をはみ、風や光とともに生きてきた羊たち。

木原さんはブドウのためだけでなく、土地そのものの循環の一部として、この羊たちを大切に育ててきました。

その羊を「お預かりする」と決めた瞬間から私たちはただの精肉業者ではなく、物語を次につなぐバトンランナーになったつもりで仕事をしています。

だからこそ、1gたりとも無駄にしない。大きなロースやレッグといった花形の部位だけでなく、骨、脂に至るまで、すべてに役割を与えたい。

どうか一口一口、ゆっくり味わってください。その時間こそが、この羊たちにとっての、いちばんの供養であり、私たちが「1gも無駄にしない」と誓った約束の完成形だと思っています。

なぜワイナリーに羊がいるのか？

その答えは、ごく自然なもの。人とともに歩き続けてきた最古の家畜「羊」と、ほぼ同じ歴史をもつ「ワイン」。世界の葡萄畑では昔から羊が風景に溶け込み、畑の力を支えてきました。

草を食み、大地を耕し、肥やしを落とし、また草を食む。その循環の中で畑は健やかに息づき、ブドウはその土地らしさを纏って育っていきます。

そして何より、ぶどう畑に佇む羊の姿は何故か人の心をふっと柔らかくし「こんな場所で生まれたワインを飲んでみたい」と思わせる、特別な魔法を持っています。

2012年に余市に移住してきた木原さんは森を切り拓き、水路を整備し、小さな葡萄畑をこのモンガク谷に作りました。

海が見えるブドウ畑、100年前の札幌軟石の蔵、元気に走り回る北海道犬、気ままに草を食む羊、そこに溶け込んだ木原さん一家、まるで素敵な映画や絵本のような世界。

モンガク谷ワイナリーさんについては、ワインがお好きな方、そして北海道のワインに注目されている方なら、殆どの方はご存知でしょう。複数の品種をフィールドブレンドして造られる自然で滋味深いワインを作っているワイナリー。

私も一口飲んで大ファンになりましたが、なかなかお目にかかる事が出来ない希少なワイン。

今年も4頭の羊が、木原さん一家と暮らしており、そのうち2頭を譲り受けました。

品種はテクセルの血統が強めに出た感じの父羊（テクセル）と母羊（ポールドーセット×サフォーク）。毎年恒例の名前は！今年も！ジン（雄）・ギス（雄）・カン（雄）・ラム（雌）。そのうち「カン」と「ラム」が当店にやってきました。

今年もモンガク谷の様々な野草と木の芽、収穫残りの葡萄やその葉を食んで、丸々と大きくなりました。ワイナリーの敷地内で、よもぎ、熊笹、クルミの木、栗の木、唐松、トドマツが生えている所で自由に餌を食んでノンビリと過ごし育ち、時に少しのおやつ（北海道産ビートパルプ）を与えてストレスなく過ごしました。

このブドウ畑に生える草、時によりブドウの木に残った果実、そして自然に生えている植物、これらで育った羊が「モンガク谷ワイナリーの羊」。この場所でしか育まれない完全放牧の羊。これが羊肉屋である私達にとっても大切な事で、皆様にも感じて頂きたい事。

今年譲って頂けた羊も、きっとモンガク谷ワイナリーさんのワインと通ずるものがあるはず。

ワインと羊、二つのモンガク谷ワイナリーさんの「今年の味を」一緒に楽しんで頂きたく特別にご用意させて頂きましたボトルがあります。

毎年、リリースと同時に無くなってしまう彼らのワインから貴重な1種を分けて頂き今年もご紹介致します（一般販売されていない希少なボトルをご案内下さりました）。

ワインの本数も、羊の量も限られておりますので、ぜひ両方ご注文頂き楽しんで頂きたいのが心の内ですが、お酒が飲めない方はどうぞご遠慮なくお肉だけでもご注文下さい(^^)

【表示されていない部位は完売致しました】1頭目の「カン」と同じくブドウ畑に放たれ、多種多様な餌を食んだフィールドブレンドのグラスフェッドラム。

月齢は8ヶ月で枝肉重量は34kg。

テクセル×ポールドーセット×サフォークという、いずれも肉専用種として評価の高い3品種を掛け合わせた極めて肉質志向のクロスブリードです。

肉色はやや深みのある赤色で、若齢メスらしいきめ細かい筋繊維を保ちながら十分なミオグロビン量を備えている力強い赤色。筋肉の締まりはとても良好で、テクセルとサフォーク由来の厚みのある筋肉量に、ポールドーセット由来のしなやかさが加わることで、弾力がありつつ、メスらしい繊細な歯切れの良さを併せ持つ食感です。

脂肪はしまりが良く、ベタつきが少ない硬すぎない中硬度タイプ、脂肪織が詰まりすぎず適度に入るため、口溶けも良く、後味がクリーン。

香りはメスらしく穏やかで、特有のフレーバーを残しつつも、赤身の旨味を前面に引き出しやすいバランス。

プレミアムラムとして位置づけられる一頭に育ちました！

ラムちゃんは、今年のモンガク谷ひつじ唯一の「メス」。実は４頭いた羊の中で、唯一ラムちゃんだけがモンガク谷ワイナリーで１週間長く過ごしました。先月の出荷時、ラムちゃんだけが車に乗るのを嫌がり・・・この子だけが出荷出来ませんでした。

一頭だけ葡萄畑で過ごし、楽しそうに駆けまわる様子や気持ちよさそうに寝ている様子を剪定しながら見守られていたようです。

とは、木原さんからのメッセージ。

そんな大切な羊だからこそ、今回も「1gたりとも無駄にしない」が合言葉。花形の部位は言うまでもありませんが、骨はスープやソースのだしとして旨みの土台になり、脂や端材は極上の挽肉やロール肉となって、また別の料理として生まれ変わります。

今年のモンガク谷の羊は、このメスで本当に最後です。来年も同じように出会える保証はありません。同じ年・同じ畑・同じ羊というのは２度と再現できない一本勝負のヴィンテージのようなもの。　

モンガク谷羊とモンガク谷ワインのペアリングを楽しんで頂く為に木原さんが特別にご用意下さったワイン。今年は「薄紅桧2023」。同じ畑で育まれたワインと羊を一緒に楽しんで欲しいという生産者の願いから特別に分けて頂いたボトル。

木原ご夫妻がこの羊のリリースの為に特別に用意して下さった僅かなボトルは、余市のふるさと納税返礼品専用キュベの為、一般での販売は行われておりません。

当店が分けて頂けた本数もほんの僅か。