Malas Uvas【マラス  ウーヴァ】は直訳すれば 「道を踏み外したブドウ」とても言いましょう か。原産地呼称制度に於けるValdeorras【ヴァルデオラス】に許されたブドウ品種ではないPalomino種とDona  Blanca種を使用している為に敢えて皮肉的な名前をワインに付けたそうです（各々80%/20%のブレンド）。契約貸与された100%オーガニックの畑は2013 年からNacho自身が全て独力でケア。1940年に 植えられた花崗岩土壌の畑は平均標高550mに 位置する1haにさえも満たない小さな畑です。1本当たりの樹木から2kg以上の果実を収穫しない様にコントロール。収穫も徐梗も全て手作業。 ステンレススチールのタンクで8日間のスキンコ ンタクトを施し、春を迎えるまではシュール リ でゆっくりとタンクとアンフォラによって熟成 させます。当然清澄や慮過ち行わず、一切の添 加物を拒絶したスタイルになっています。秘められたエネルギーの波動を感じる様な硬質 のテクスチャーが魅力。フレツシユのアプリ コツトや青リンコの様な果汁が滴る様な爽快さ があり、塩気を含んだミネラルも同居していま す。奥行きのあるフ工ノリックさはアンフォラ由来です。

1950年に植えられた泥岩土壌の単一畑を名に冠 したNacho流のオレンツワイン。ヴアルテオラ スだけでなくガリシアで最も名の知られたブド ウ品種であるGodelloを100%使用しています。 畑はLarouco【ラルーコ】の村にあるNachoのセラーから直ぐ傍にある小さな畑。酷暑に苛ま れる地区であるにも関わらず、寒さも厳しく、 通年霧が頻繁に発生するという過酷な気候を特 色としており、その大半がコブレに仕立てられ た樹である事も自ずと頷けます。 収穫と徐梗は多分に漏れず全て手作業。上面を 閉じない400リットルのティナハ（スペイン産のアン フォラ)で一次発酵を行うのですが、最低で120日聞をスキンコンタクトしながら行います。独特な気候条件は液面に軽いフロールを発生させますが、Nachoは意にも介しておりません。 ラツキングの為に古樽へと移した後は澱が落ち 着くをの待ち、瓶詰します。更に半年から1年のボトル熟成を経てリリースされています。マンダリンと焼リンゴ、カモミールのアロマに 溢れたオレンジ スタイルの傑作。特にコアが硬 く閉じたニユアンスは長期熟成の期待を膨らま せてくれます。旨昧が強い貝類や香りが強烈な ニンニクの様な香昧野菜とち実に相性が良く、懐の深いペアリングのポテンシャルち実に魅力的です。

Nacho  Gonzalezが醸す一連の作品群に於ける トップ キュヴェこそがこのオ プーロ。プーロ は2014年からNachoが借り受けてケアを続けて いるGaliciaで最も標高が高い650m付近にある「放棄された」畑の名前です。4年掛けて彼が行ったのは元々畑に植えられてい たGarnacha TintoreraとPalominoのプルーニングと微生物達のケア。ゴブレとブッシュに仕立てながら、流れ落ちた表土や転がる巨石と格闘を続けて来ました。更には1本の樹から収穫するフルーツは1kg以内とする事で、一段とその クオリティを引き上げています。ちなみに現地 のスタンダートはダブル コルドンの大量生産で すから、如何に彼が特異な存在かが際立っています。 発酵は400リットルのティナハ。二次発酵を終えた頃 合いを見て古いフレンチオークへと移して1年聞 の熟成と行います。驚異的と言える凝縮感は 品種個性を保ちつつも、非常に野生的で複雑な アロマを生んでおり、最早タンテュリエのシンプル極まりない味わいとは別の次元へと昇華されています。されどアルコールは12.4。ピュアでありながら極限まで磨き込まれた様な神秘的なミネラリ ティはNachoが秘めたブドウへの想いを細胞レベルで感じさせてくれます。

スペイン語で「無法者」を意味する名を冠した Nacho流のロゼ。alomino種90%にGarnacha Tintoreraを10%ブレンドしています。 ロゼを作る上で、自身が管理するヴインヤード の中から特に「過小評価されているブドウ品 種」を選んで使用する事を決めたNacho。迷う事無く2種のピックアップを決断したそうです。PalominoもGarnacha Tintoreraも同日に収穫。 手作業で除梗した後にミックスし、5日間のマセ ラシオンを経て時間をじっくり掛けながらプレスして搾汁します。プレス後は古いフレンチ オークへと移し、特に何ちする事無く澱の沈殿 を待ちボトリングするだけのシンプルなプロセ スです。 「過小評価のブドウ」を使用して美味しいワインに仕立てるっていうのは、実はよくあるワイ ンメーカーのインスピレーション。しかしなが らこのワインは「軽すぎて中身が無い」と揶揄 されてしまうalomino種に「鈍重で華やかさが 無い」と軽んじられて来たGarnacha Tintorera 種を混じり合わせた上で軽やかさと重さをパラ ドックス的に反転させてしまった面白さがあります。ラズベリーやチェリーにといった在り来たりの フルーツだけでなくグアヴァの様なトロピカリティがあり、しかも絶妙に粘着性もあり余韻が続くんです。欲張り過ぎなスタイルですね。

Trancado【トランカード】こそがNachoが祖母から譲り受けた50年聞「放棄Jされた畑。生物 学博士としての道からワイン作りの道へと、その方向をスイツチしたきっかけでちあり、祖母の魂と共に天塩に掛けて来た愛の詰まったスピリチュアルな土地と言えます。ブドウは1940年に植えらえれたGarnacha Tintorera90%に1960年に植えられた Mencia10%。直ぐご近所にある原産地Bierzo 【ビエルソ】でもよく知られているスター品種 です。 フルーツは全てハンドピックで素手による徐梗。 そして5日間コールドソークの後に36時間以上 掛けてゆっくりとプレス。プレス後は使い古し たフレンチオークとクルミの樽に移してゆっく りと熟成に入ります。面白いのはロゼと非常によく似たプロセスで、果皮や種子からのタンニ ンを過剰に抽出していない点にあるんですね。 しかしながら元来非常に濃密な「赤い」個性を 持ったブドウ品種をベースにしていますので、 熟したダークチェリーやレッドカラントの果実 味に溢れており実にチャーミングです。かつ余 韻ち長く塩気さえち感じさせてくれるのですか ら、多くの要素を満たすツ工ネラスで満足度の 高い仕上がりと言えます。